先生『これだとインプラントですね。30万円です。』
私『… … え?』
(とある歯医者での会話より抜粋)
さて、苦手なものの代名詞である歯医者。
そんなことないよって人もいると思いますが、私も以前は大の歯医者嫌いでした。
嫌いな理由は、よくある歯の治療の痛みとか、ドリルの音が嫌いとかそういった理由ではなく、何の説明もなくいきなり歯を削りだすバカな歯医者に当たったせいです。
治療説明も無ければ状況の説明も無し。23才くらいの時でしたが、それ以降は痛みがあっても歯医者に行かなくなり、歯医者嫌いを克服するのに10年の時間を要しました。
お陰で抜歯しなければならない虫歯になってしまい、10万以上の治療費を掛けて治療したわけですが、そういった場合はある程度は治療に対する知識がないと、先生ときちんと話ができません。
多少説明してくれるといっても、時間の制約があるなかでの話なので、何万円もする治療を心の準備もなく提示されても冷静に選べませんよね?
それぞれの治療方法にはメリット、デメリットがあります。予算も関係しますので、代表的な治療方法だけでも知っておくと、後悔も少ないかもしれません。
治療方法①:インプラント
【自由診療】相場:30万円~/1本
インプラントとは、抜歯した歯の部分にボルトのような人工歯根を埋め込み、それを土台としてクラウン(被せ物)をするというもので、外科的な処置が必要です。
保険診療はできず、自由診療となるため高額な治療となります。
《メリット》
- 入れ歯と違い取り外す手間や違和感が少ない
- 自分の歯のように使え、見た目も良い
- 入れ歯やブリッジと違い、他の歯を削らずに済む
- 入れ歯やブリッジと違い、他の歯の負担を軽減できる
- 耐用年数が長い
《デメリット》
- 治療に時間が掛かる(最低3ヶ月程度)
- 100%成功するわけではない
- メンテナンスが必要
- 費用が高額
- 人によっては施術できないことがある
昨今主流になりつつある治療方法です。
見た目がよく、自分の歯のように使え、長持ちすると3拍子揃った治療方法ですね。予算の問題がなければインプラントがおすすめです。
ですが、歯科医院選びとメンテナンスはしっかりとすることをおすすめします。
治療方法②:ブリッジ
【保険診療】相場:1万円~/3連結
【自由診療】相場:15万円~/3連結
お次は保険診療も可能なブリッジ治療をご紹介します。
3連結と書いてあるのは、ブリッジ治療というのは、抜歯した両隣の歯を削り土台にして、3本分のクラウンを被せるという治療法だからです。(両隣でない場合もあります。)
この治療法の最大のデメリットは、両隣の歯が健康であっても、土台にするために削らなくてはならないということです。しかも、クラウンを被せる土台にするわけですから、結構な量を削ります。
『保険診療のものがいいけど、入れ歯は嫌。』と言った場合、消去法でこの治療法になります。
保険診療でも前歯であれば白いクラウンを被せることができ、相場は2万円~です。奥歯の場合はメタル(銀色)のクラウンです。
ただし、白いクラウンといっても、クラウンには種類があり、保険診療の白というのは一般的に硬質レジンという素材のものを指します。
例えば、前歯を保険診療でブリッジ治療した場合、硬質レジン前装冠(白)というものになり、前は白いですが裏側はメタルになり、白といっても歯のような白さではありませんし、質感も異なります。簡単にいえばプラスチックです。
加えてレジンという素材は黄みがかった変色をしやすく、劣化により臭いも放つようになります。平均耐用年数は7年とされていますが、見た目を気にする方であれば自由診療で選べるセラミック製の白いクラウンがおすすめです。
セラミック素材を選んだ場合、費用の相場は1本5万円~となり、3本分の連結クラウンを被せることになるので、3本分で15万円~となるわけです。
加えて透明度の高い綺麗なクラウンとなると、同じセラミック素材にも種類があり、ハイブリットセラミック:5万前後、メタルボンドセラミック:8万円~、オールセラミック:10万円~といった相場になります。
奥歯であればハイブリッドセラミックで充分綺麗ですが、前歯で審美性にこだわると、結局オールセラミックになると思います。そうすると30万円~になってしまうので、1本の治療ならインプラントできる値段になります。
ブリッジの平均耐用年数は7年と言われています。
それであれば他の歯を削らずに、耐用年数も長いインプラントがいいですよね?こだわらずに保険診療で治療するのと、こだわって自由診療で綺麗に治療するのとでは、治療費は雲泥の差が出ることを覚えておきましょう。
《メリット》
- 自分の歯のように使える
- 自由診療で治療すれば見た目も良い
- 保険診療ならば費用が安い
《デメリット》
- 周りの歯を削る必要がある
- 削った歯(歯根)の寿命を縮めることになる
- メンテナンスが必要
- 自由診療の場合は費用が高額
この治療方法も、歯科医師の技量によってはトラブルになるケースもあります。虫歯を完全に治療しきれておらず、クラウンの中で虫歯が進行して全滅してしまったり、クラウンに隙間が空いていて、そこから菌が繁殖してしまい中で虫歯になってしまうなどです。
どちらにせよ、日頃の歯磨きや定期的なメンテナンスを怠ると長持ちしないのは、歯も義歯も同じです。
治療方法③:部分入れ歯
【保険診療】相場:5千円~/1本
【自由診療】相場:1万円~50万円/1本
若い年代の場合、治療方法として提示されないことが多い部分入れ歯。嫌がる方が多いからでしょうけど、もちろん年齢に関係なく保険診療を受けることができます。
保険診療の部分入れ歯というのは、両隣の歯を少し削って金属バネ(クラスプ)を引っ掛けるタイプのものです。場所によっては相当目立つので、若い人で保険の入れ歯というのはあまり選択しないと思います。
では自由診療はどうかというと、色々な種類があります。実は1本100万円を超えるものもあるようですが、選ぶ方は少ないと思うので割愛します。
スマイルデンチャー、ミラクルデンチャー、シリコン義歯、ホワイトクラスプ、アタッチメント義歯、ウェルデンツなどなど、かなりの種類があります。
見た目が気になる場合は、保険の入れ歯は嫌でしょうし、見た目にこだわるとインプラントよりも高額になる場合が多いので、そうなるとインプラントを選ぶ方が多いでしょう。
インプラントよりも安くて見た目も悪く無いものとして、スマイルデンチャーがよく話題にあがります。これはノンクラスプデンチャーと呼ばれることもある種類の入れ歯で、歯ぐきに近い色の素材で固定するため、保険の入れ歯よりも入れ歯と気づかれにくいというメリットがあります。
費用は10万円~くらいですが、耐用年数が2~3年と短いです。しかもあくまで入れ歯は入れ歯ですので、よく見れば分かりますし、歯科技士の腕によって出来上がりにはかなりの差があります。
その場しのぎにはいいかもしれませんが、あまり勧めてくる歯科医はいないと思います。
《メリット》
- 保険診療ならば治療費が安い
- ブリッジと違い、周りの歯を削る量が少ない
- 3つの中では治療が早い
《デメリット》
- 見た目が悪い(目立つ)
- 口に違和感(異物感)がでる
- 毎日取り外しての洗浄が必要
まとめ
以上が代表的な3つの治療方法でした。
大前提として、綺麗に治したいのであれば自由診療です。安易に保険のみを希望しますなどと言ってしまうと、その後はほとんど選択肢のない治療となりますので、あまり説明されずに進んでいくことになります。
ここの歯は白く直したかったのに…などと後で思っても、もはや手遅れ。保険診療では奥歯はメタル、前歯はレジンと決まっています。保険と自費治療の両方を検討したいと伝えておけば、色々な治療方法を聞くこともできますので、選択肢を持ちたい方はそうしてください。
そして、虫歯は一刻も早く治療した方が賢明です。痛みが出てからでも、すぐに治療すれば歯根を残せることもあります。土台となる歯根さえ残すことができれば、綺麗に治したい場合でも、治療費とクラウンの料金だけで済みます。
そうなれば、自前の歯のようなオールセラミックでも10万円から治療できますので、インプラントの30万円と比べれば3分の1の費用です。
歯は一生ものです。忙しさを言い訳にせず後回ししないで治療に出向きましょう。
ちなみに、私のような歯医者嫌いの方におすすめなのは、カウンセリングルームを設けている歯科医院です。最初にカウンセリングをお願いして、ある程度の治療方針を打ち合わせできる医院であれば、安心して治療を受けることができます。
放っておいても虫歯は治りません。勇気を出して治療に望みましょう。
あなたの歯の健康をお祈りしています。