今日、派遣屋時代の部下だった男性から電話を貰った。
現場で一緒に働いたことはなかったが、彼と私にはギターという共通の趣味があり、以前もたまに電話をくれた。そんな時は決まって、”良いギターを買った”とか”弾き語りで路上に挑戦したい”とか音楽についての話を彼がしたい時だった。
興味を示さない相手へのもどかしさ
開口一番『桐生さん最近曲作ってます?』という台詞から話が始まった。要約すると最近飲み屋で音楽プロデューサーと知り合って、その人に楽曲提出して使って貰ったらどうか?という私への提案だった。
私は「今誰かの世話になって音楽で収入を得たい意志はない」ということを多少柔らかく伝えたが、彼の話は続く。
そのプロデューサーは有名アーティストにも楽曲提供していて、ある程度有名な方とのことだった。知り合ったことがキッカケで彼自身も曲を提出したりしているようだが、メロディが作れず苦戦しているらしかった。
『そっか、いい人と出会えて良かったじゃない。でもそれは私のチャンスではなくて、◯◯君が頑張りたいと思ってるチャンスなんじゃない?機会を分けてあげたいっていう気持ちは嬉しいから、その気持だけ貰っておくよ。ありがとう。』
私は彼にそう答えた。彼は不満そうだ。
自分の望みはどこにあるのか
不満気な彼の口からはこんな台詞が出る。
『もし自分がその人に楽曲提供して、印税生活することになったらどうするんですか?』
3年ほどの付き合いである程度彼の性格は分かっているつもりだが、その台詞を聞いた時「変わらないな」と思った。
『それは素晴らしいことじゃない。チャレンジしてみたい分野で成功するなんて、本当に素晴らしいことだよ。』
私は答えた。
このやり取りは自分のしたいことを子どもに押し付ける親と構図が似ている。「自分が環境を整えてあげるから、あなたはその分野で成功しなさい」という想いが見え隠れしている。
それだけ私のことを気に入ってくれているということかもしれないから、ありがたいことでもある。だが、その場合に頑張るべきなのは親本人であって子どもではない。例えばそれがスポーツなら、オリンピックには出られないとしても自分で掲げた目標に向けて頑張ればいいのだ。マラソンなら小さな大会での入賞でも完走でもいいだろう。
自分の目標に自分のために自分で決めて挑戦する。
チャレンジには自主性が大切だと私は思うのだ。例えばその目標が家庭のための仕事だったとしても、”家族と不自由なく幸せに暮らしたい”という自分の願いのために頑張るのであって、家族のためであると同時に自分のためでもある。
自分と他人の夢や目標を混同してはいけない。つまり、そういうことだ。
人と人を繋ぐなら、興味づけが不可欠
そもそも興味を示さない相手に、それ以上詳しく話しても時間の無駄だ。まずは相手の話を聞いて、それを加味して興味づけの種を巻いてみる。それは相手の欲求がどこにあるのかを探す行為でもある。
書いていて物販と似ているなと思ったので、例え話ばかりで恐縮だが、洋服の販売に例えてみたいと思う。
ご存知の方もいるかもしれないが、販売には購買8心理という考え方がある。
- 注意
- 興味
- 連想
- 欲望
- 比較検討
- 信頼
- 行動
- 満足
簡単に説明すると、8心理でいう[7.行動]が購入を指す。一例で言うならば、1枚のTシャツを購入するに至るまでの流れはこうだ。
- お店のディスプレイなどが気になる
- 特定のTシャツに興味を示す
- 持っている服とのコーディネイトを考える
- 着用のイメージが湧いて欲しくなる
- 他の店の商品と比べたくなる
- 販売員やブランド、商品が信頼できるかを確認する
- 購入する
つまり紹介したい対象が、人であっても商品やサービスであっても、2番目の興味が薄いと”連想と欲望”のイメージが湧かないのだ。これでは話を無理やり進めても相手は乗り気にはならない。7番目の行動までのステップを踏んでいないからだ。
購買8心理に興味がある方は検索してみるといいだろう。元が英語なので和訳に違いがあったり、最近は9心理になっていたりする。もしあなたがブロガーならば、アフィリエイト記事にも役立つ考え方かもしれない。
最後に
今回知人からの電話で気になった点を書き綴ってみました。紹介者が知人や友人の場合には、その人への信頼度が興味を大きく左右するなという感想です。
彼はいいやつなのですが、自分の話と相手の話をゴチャ混ぜにして話を進めるので、私にとってはちょっと理解しにくいタイプというだけのことかもしれません。そして一番言いたかったのは、彼自身が自分の欲求を掴めるようになるといいなということです。
心理というのは実にシンプルで、実に複雑だというお話でした。
おしまい。