元アパレルショップ店長の桐生です。
さて、早速ですが
人を褒めるのは得意ですか?
得意ですけどなにか?って人は日本人にはあまり多くないのではないかと思います。
最近流行ったアドラー心理学でも「叱ってはいけないし、褒めてはいけない」なんて言葉が印象に残ったりもするので、あまり時代に求められているスキルではないのかもしれません。
だがしかし。
男性諸君。
女性を褒めるのは男性の責務です。
とはいえ上手に褒めるのって案外難しいのもこれまた事実。
「胸大きいね」
だの
「脚きれいだね」
だの
そんなこと言われても、女性は嬉しくないどころか訴訟起こされたら200万取られるレベルのセクハラです。
セクハラについては個人間の関係性が大きく影響してくることなのであまり言及しませんが、相手にどう思われているかわからない以上は余計なことは言わない方が身のためです。
褒める技術:練習編
褒めることは技術です。よくある言い回しですが、技術である以上は会得することが出来ます。
そしてなぜ冒頭で昔の肩書きを引っ張りだしてきたかというと、アパレルの新人研修でやった方法が効果的だと思ったためです。その方法とは、何の変哲もないコップを置かれて「このコップの良い所を10個書き出せ」というものでした。
コップを10パターンで褒める
- 大きさが程よくて持ちやすいですね。
- 透明度が高くて飲み物がとても美味しそうに見えますね。
- 口に当たる部分が滑らかで飲み心地がいいですね。
- 底の部分が重い作りで倒れにくくて安心ですね。
- ムラのないガラスで清潔感がありますね。
- 一度で飲むのに調度良い容量がいいですね。
- シンプルなデザインで日常使いに適してますね。
- ガラスに厚みがあって安全性が高いですね。
- 調度良い重さで大人から子どもまで扱いやすいですね。
- 無色だから飲み物を選ばず使えていいですね。
手本というか試しに10個挙げてみました。久しぶりにやってみたらかなり手こずりった。(汗)
こんな感じで練習します。物で慣れてきたら対人で行うのですが、その場合は5分間の交代制にします。人の場合は上限を取っ払って数を競ってゲーム感覚で練習すると効果的です。多い人で30個以上、少ない人だと5個前後しか出てこなかったりします。
この対人でつまづいてしまう場合は、コップではなくバッグや財布、洋服やアクセサリーなどの褒めるポイントが多い物で再度練習してみてください。
ここでのコツは先入観を持たずにポイントを探すことです。すると色々な所に気がつくことができます。そして、褒める時の大前提は「思っていないことは言わない」ということです。思ってもいないことで褒めると、その後に話題が続いた時に必ずボロが出ます。人間性を疑わることにも繋がるのでここだけは守るようにしましょう。
そしてもうひとつのコツは、「◯◯だから◯◯」という形式で褒めることです。きちんと根拠を示して褒めることで、言葉に説得力が生まれます。
褒める技術:実践編
練習編に慣れてきたら実践編に移ります。目安としては対人で10個褒められるほうになったらOKです。
実践編では褒めた時の相手のリアクションにも考慮していきます。そのポイントは「主観を入れる」ということです。個人の感想ですね。
多くの人は褒めるのが苦手なのと同時に褒められるのも苦手です。褒められて嫌な気持ちになる人は少ないのですが、嬉しくても返しに困ってしまう人が多いので相手が返しやすい言い方を身につけます。
相手がいないと例が出しづらいので、ぱくたそのフリー素材から河村友歌さんの写真をお借りして褒めてみたいと思います。写真はビジネスシーンを想定してスーツ姿にします。
同じ会社の女性社員をさり気なく褒める
《例》
①後輩
「お疲れさまです!さっきの会議の内容見返してるんですか?河村先輩の堅実に仕事を進める姿勢すごく尊敬してます。私も見習わないと」
③同僚
「河村さんっていつも髪型が整っていて素敵ですね。見ていると私も気が引き締まります」
②上司
「おはよう!今日も顔色いいね。ハツラツとした表情でこっちまで元気になるよ」
情況は適当ですが、こんな具合です。
よく使われる「褒めても何にも出ないよ」という台詞に表れていますが、褒めるということは相手をコントロールするのにも有効な手段です。ですのであくまでコントロールしようとしているのではなく、褒めたポイントによって自分にも良い影響があることを伝えて終わると相手を警戒されにくいのです。
相手は褒められたところではなく付け加えた部分に対して返答ができるので、褒められるのが苦手な人でも「そういって貰えると嬉しい」と返せばいいだけなのでストレスにもなりません。褒められたら反射的に否定してしまう癖がある人でも、これによって否定しにくくなるという利点もあります。受け入れやすいんですね。
というわけで主観で感想を付け加えるというのが実践編のテクニックでした。
ちなみに付け加える言葉は良い影響であればいいので、「嬉しい」とか「助かる」とかありきたりな言葉でも大丈夫です。セクハラと同じで相手との関係性や性格を考慮して使わないと逆効果になることもありますが、嫌われてさえなければ使えるので、セクハラ問題ほどややこしくはないと思います。
それでも上手く伝える自信がない人は、練習編でやった小物や洋服を褒めるところから始めてみるのもおすすめです。ただし、あんまりジロジロ見ちゃ駄目ですよ!
以上、褒める技術の練習編と実践編でした。
最後に
相手をコントロールしようとしない褒め方を会得すれば、会社から家庭の人間関係まで幅広い場面で応用することができます。人間関係の潤滑油になるので是非試してみてください。
ちなみに俗にいう「爽やかな人」というのにはこれが得意な人が多いです。相手に見返りを求めない褒める技術と言い換えることもできるかもしれません。
これを会得して相手に喜んで貰えると、自分も嬉しくなってくるので使いすぎにはご注意ください。それさえ気をつければ、きっとお互いのストレス緩和とモチベーション向上に一役買ってくれる筈です。
おしまい。